皆さんはCGと聞くと、どんなものを思い浮かべますか?
最近だと3D映画の「アバター」が話題ですが、やはり映画などに代表される
「映像の中で観るもの」というイメージが強いのではないでしょうか?
日本では10年くらい前に、ちょっとした
CG制作ブームが起きました。
3DCGを教える専門学校が話題になり、
高価で手の出せなかったハイエンドCGソフトも
学ぶことが出来るようになったのです。
私もそのブームにつられてCGをやるようになりました。
その後数年間CG制作の仕事をしましたが、
せっかくCGで立体形状をつくっても、2次元の画像になるだけで
モノづくりしている感覚はいまいち実感できませんでした。
そのため、4〜5年前からは、CADを使用した製品設計の分野の仕事をするようになりました。
当時は知識も乏しくCGでは実際のモノは造れず
CADでなくては駄目だと漠然と思っていたのです。
確かに、CGソフトはCADのように設計的なモデリングには向いておらず、
設計データに必要なクオリティや金型の設計要件を求めると、機能的にも欠けており
細密なデータを扱うには動作も重くなるので現実的ではありませんでした。
ところが、最近ではCGデータからの立体造形が行われつつあり
CG専門誌でも採り上げられるようになりました。
その一つの要因は3Dプリンターと呼ばれる
立体造形装置が登場したことが挙げられます。
このような造形装置では、形状を輪切りにして
一層づつ積層していく方法がとられているので
金型などが必要なく立体形状を造形できます。
装置自体がたいへん高価な上、個人向けのサービスも少なかったので
一般的ではありませんでしたが、最近ではそういったサービスが
増えてきたため広まりつつあります。(inter-cultureもその一つですが・・・)
もう一つの要因は、スカルプト系の
CGモデリングソフトの登場が挙げられると思います。
詳しくは追ってご紹介しますが、従来のCGモデリングとは違って
ペンタブレットを使ってモデリングするこれらのソフトでは、粘土をこねるような感覚で
扱うことができ、細密な形状でも動作が軽く、効率的にモデリングできます。
特に、有機的で不規則な形状の制作では、CADでやると
何日かかるか分からないようなものが、数時間で出来てしまったりします。
そして、ソフトによっては立体出力用にデータを最適化できる機能を有しているものもあります。
3Dプリンターで立体出力する際には一般的にSTLデータが使用されますが、
このデータは小さな三角形の集合体でしかないので、その時点では
CGで制作したデータであろうと、CADで制作したデータであろうと
関係はなくなります。
もちろん現実の立体物を制作するので、普通にCGで絵をつくるのとは違って
少し気をつけなくてはいけないこともありますが、そこさえ押さえれば
CGデータからでも立体物を作ることが出来ます。
CGでフィギュアをつくってみようー
と、ここまで真面目に書いてしまいましたが、実際どんな事ができるのか。
何か実際にサンプルをつくってみようということになりまして・・・
安易な発想かもしれませんが、とりあえずフィギュアをつくってみることになりました。
制作するにあたっては、エンキ・ビラル的近未来SFに登場しそうな
渋めの女性キャラクターをイメージして造ってみたつもりです・・・(たぶん)
※エンキ・ビラルはバンド・デシネと呼ばれるフランス語圏のコミックの巨匠です。
「ブレードランナー」以降の近未来SF映画に、多大な影響を及ぼしたことで知られています。
(私はエンキ・ビラルの淡くて渋い絵が大好きです。)
このブログでは、このフィギュアの制作工程を連載していく予定です。
CGデータの制作→立体出力→仕上げ→シリコン注型で複製
の各工程を、順を追ってご紹介していきたいと思います。
CGからフィギュア「基本モデル制作」 vol.02 へ