SPECIAL INTERVIEW 吉井宏さん Vol.3
絵を立体にするということ。
-2次元 から 3次元、そして最近では造形もされていますが、
何故、造形もやろうと思われたのですか?
版画ってあるじゃないですか。
例えばデジタルでイラストレーターやってる人が、
プリントを版画みたいに売ろうとしたりしますが、なかなか売れないんですよ。
本物の版画家だって相当大変なんだから。
ところが、立体になると買い手がいるんですよ。
家庭用プリンタでほぼ同じ複製が可能な2Dプリントとちがい、
立体物は簡単に複製できないから、価値の次元が違う。
それを複製して色を塗った物は、
「作家が複製を前提として創意工夫して作った作品」という意味では、版画と同じことになるんですよ。
それですごく面白がってやってたんですよ。
でも、その複製ということがいかに大変かっていうことがわかっちゃって(笑)
だから、今回みたいに出力された物を一点物として色を塗るんだったら、
これは複製に比べたらだいぶ楽です。
複製は、ほんとしんどい(笑)
- では、ご自身のキャラクターの中で「これを立体出力してみたい!」
と特に思われるものは、どんな作品でしょうか?
それね、すごい明確にあるんですよ。
まず量感と言うか、形が気持ちいい物でないと出力してもつまんないですね。
あと、色が真っ白になっても面白い物や、自分で立つ物ですね。
それと、僕は目を平面に丸を書くだけにして、立体でちゃんと作りこんでいることが少ないんですよ。
それを考えに入れると選択肢は狭くなりますね。
- イラストで描いた物を実際に手に取れるということに特別な感覚はありますか?
そりゃあ、感激しましたね。
コンピューターの画面の中にしかなかったものに手で触れられるというのは、それは感激しますよ。
でも、出力を繰り返していると、画面の中の物と出力した物に変わりがないことに気がつくんですよ。
画面の中にあったものをインクジェットプリンターで出力しているのとほぼ一緒くらいまで、
感覚的には近づいてますね。
そうすると、ちゃんと立体出力ができることが確認できた今となっては、
まずはその画面の中にある物を完璧にしなくちゃいけないって思うんですよ。
プリンタの性能は確認できたから、安心して作品を作ろう、っていう感じですね。
出力は当然のように出来るようになったわけですから。
「3Dでカタチを作れる」が強くなる
3D出力できること自体が多少は知られてきたとは思うんですけれど、
実際に自分で出力してみようって所までは行ってないと思うんですよ。
「 3DCGで形が作れる = 出力ができる 」ということが広く知られるようになると、
「 形を作れる人ってメチャメチャ強い 」ということになると思うんです。
例えば、スケッチで描いたものを「これ、3Dにして出力してください」って、 それは無茶な話でしょ?
形の後ろ側まで考えてどの形が美しいか、という必要な情報を、
モデリングをする人が3Dで全部付け加えた上で出力するわけです。
ということは、モデリングができる人は物の形を360°全部考えることができるっていう強みが出てくる。
しかも世界中のあらゆるものプロダクトが立体出力を通してCGと地続きになる。
自分の画面の上だけの話だと思っていた物が色んな立体の物と地続きだ、自分の作った形が世界に広まる、
ということに気が付くはずなんですよ。
そうなると、形を作るということのビッグバンが起きるんじゃないかと思いますね。
全体を通しての感想を伺えますか?

光造型も、こんなに大きな出力も初めてだったんで、
まず驚いたのはこの量感ですよね。
高さ25センチって言ったらフィギュアとしては相当大きい。
なので、下地を塗り終わるまでに3日もかかりました。
それから、凹凸を目立たせるためにサーフェイサーに黒を少し混ぜてシンナーで薄めてから全体に塗ったんです。
そしたら、サンドペーパーがけ。
それでも、光造形だとエッヂが綺麗に出る上に、積層のピッチが狭いので、
最初の段階でも完成度が高くて、 かなり滑らかだと思います。平面は全くの平面として出ますしね。
それが終わったら、今回はパーツを予め分割していたんで、
その組立接着とつなぎ目の処理ですね。
エポキシ接着剤でパーツを合体させたんですが、
実はエポキシでも完全接着が難しかったので、 接合面をカッターで荒らしてからくっつけました。
ここまできてやっとベースの色塗りですね。
もー、大変!筆塗りなので、薄目に何度も重ね塗りしました。
以前に決めた色見本にできるだけ合わせて、それらしい色を作って塗ったんです。特にヤンスの背中とか、
このパターンを筆で描くのは本当にどれだけ大変かおわかりしょ?




















