SPECIAL INTERVIEW 中林鉄太郎さん Vol.3

By in インタビュー on 2010年4月12日



-プロダクトデザイナーの範疇として、そういった要素を考える事が含まれているとお考えですか?

昔はデザイナーの仕事の範囲って、今に比べて狭かったと思うんですよ。

商品企画から「よろしく」って言われて資料一式が来た。

そういう受け渡し方で商品開発プロセスが機能してた時代はそれで良かったんですよ。


ところが、
作れば売れる物なんて今の時代には無いので「誰の責任でこれが売れるって言うんだ」となる。

なすり付け合いになっちゃうじゃないですか。

デザイナーの視点で商品企画の方にも入っていかないと上手くいかないことが増えてきたわけです。

商品ブランドの考え方も更に進化して、ブランディングも見なくちゃいけないし。

上流の方では「どう作るの?」という話になる事が多いんですが、

道具も技術も発達してきたし、どう作るかの答えは実は出しやすい。

だけど、「誰にどんな形でハッピーを届けるの?」という所を考えなくちゃいけない。

「どう作るの?」

よりも「何を、誰のハッピーのために作るの?」と思うんです。

それが問われる時代だから、そっちにもっとシフトしていかなくちゃいけないと思います。

-ご自身が教鞭を取る教育の現場でもそういった教え方をしていますか?

言葉では伝えているけれど、敢えてそっちには持っていってないかもしれないです。

日芸なら日芸。
桑沢なら桑沢。

同じPCを使ったカリキュラムやプロダクトデザインの範疇の事柄を教えてはいても、

学校として排出したい人材イメージって学校のカラーや方針もあるんで、微妙ですけどそれぞれに違いを感じてます。

全部が全部「そういう人材になった方が良いよ」とは言ってないですね。

ただ、そういう事例は紹介しています。

「そっちに興味のある人は自分から積極的に情報を掴みに行って」ってことだと思っています。


チームクリエイションの為のプラットフォーム

-RPの技術もかなり広がってきましたが、
この流れが更に広まると今後どうなると思われますか?


例えば、ユニボディは金型なしで、試作のようなやり方で作る技術です。

確かに、普通に成型すると成型上の制約が出てきちゃう。

でも、ユニボディにはその制約がない。

加工機の発達もありますが、そういうプロセスが組める時代になったんですよ。

そうすると造形の世界はそっちに近づいていくかもしれない

RPだけで最終的な物に近づいていっちゃう。

造形で色々と確認してから新たに金型を作り、

という部分がなくなっていくかもしれない。

多分そういう時代が来るでしょう。

それでも制約が無くなるということはないでしょうけど。

-プロダクトデザインの教育の現場にRPによる造形を取り入れるとすればどんなことが期待できますか?

「 悩んでいる段階で一旦、形にしてしまう 」という事がデザインの上ではすごく重要。

今までは自分で形を作っていたんですが、綺麗に作ろうとすると時間が掛かっちゃう。

そこに時間を掛けられないんだったら、

とりあえず造形して、触って、ボリューム感を見て、考える時間を増やす。

一旦出力してみると「 あ、ここがだめだな 」って気付くから、

そうしたら早い段階でもう一回やり直せばいい。

そういうトライ&エラーができるツールですよ。

そうすることで、手で削ってモデルを作成する重要さも感じられるはずですよね。

インプットした物をアウトプットして、それをまたインプットして、

っていう繰り返しをどれだけ出来るかが大事だと思うんです。

そういうことを教育現場の中でできるのであれば、いいですよね。

- 今後こういうことをしていきたい、という展望はありますか?

今、「 なかのデザインプラットフォーム 」というものを準備しています。

先程の話とも関係しますが、チームクリエイションにはもっと可能性があると思うんです。

もちろん、クリエイションは個人の中から出てくるものだから個人に委ねる部分はあるんだけれど、

その前段階の商品企画なんかに行けば行くほど扱う情報は多いし、

方向性を検討する時にはやっぱりチームの方が早いわけです。

それで方向性が決まったら先程の七つの要素も埋まってくる。

そういったチームクリエイションができる場所が欲しいな、と。

「プラットフォームになれる事業を色々と仕掛けていこう」
「プロジェクトそのものを、どうデザインしていくか」

ということを考えています。

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