SPECIAL INTERVIEW 中林鉄太郎さん Vol.1

By in インタビュー on 2010年4月12日



-今回造形したペントレイのデザインについてお聴かせください。


ペントレイってお皿ですけれど、お皿である必要って実はあまりないと思っていて。

極端な事を言うと、こことここ( ペンの両端を支える )だけ支えてあれば良いわけで、
あとは転がらないだけのフチさえあればいいんだろうなって。

だから真ん中に穴を開けたんですよ。
机の上って、ついつい無意識に色んな物を置いちゃうじゃないですか。
最初から穴が開いていれば、ここに置いてくれるだろう、というのもあります。

-不必要な部分を削ぎ落としたデザイン、ということですね。

最終的には鋳物になるとのことですが、その事もデザインに影響を与えていますか?
これは、Birds-Footとbug’s-eyeの仲間にしていくつもりなんですが、そうすると全部が金属になっちゃうんですよ。Birds-Footは鉄鋳物でbug’s-eyeは真鍮で、どっちにしても重いですよね。

ペントレイの平面が全部塞がっていると更に重たくなっちゃうんで、
軽量化ということもあって穴を開けてあります。
実はこの穴の内側のカーブは狙って作った訳じゃないんですよ。
このペントレイはCAD上だと4分割されているんですが、
その外側のラインだけしか決めていなかったんですね。

で、そのアウトラインに沿って、それぞれの断面がスムーズに繋がるようにしたら、
内側にはたまたまこの綺麗なラインが出てきたんです。それを、そのまま活かしました。

-CADの使い方としては面白いですよね。

そうですね。
エンジニアの方とは使い方が違うと思います。
制約条件がデザインを決めるという部分があるじゃないですか。
「 こういう機能が欲しい。」 「 このサイズ以下じゃないとダメ。」 とか。

そういう制約条件をCADで「 ここの面とここのラインは守る。
でもあとは守らない 」って設定すると、意外とこういう使えるカーブが成り行きで出てきちゃったりします。そういった成り行きで出てきたものを活かすこともありますね。

従来の流れを変える試みを、ミニマムでやってみる。


-Birds-Foot、bug’s-eye、今回造形した作品で一連のシリーズになるということですが、
そのシリーズを始めたきっかけは?


そもそもは、「 メーカーに初期投資をしてもらって物を作る 」 という従来の流れではなく、
「 デザイナー側が初期投資をして物を作り、流通もチャンネルも開拓する 」という流れをやってみようという試みだったんです。

でも、それだとたいした投資が出来ないわけですよ。
それに、在庫や受発注のこともあるので「 ミニマムでどこまで出来るのか 」 という事に絞ったんです。
「 金型みたいに高い投資もできないし、何十個という部品が必要な物も無理だ 」 と。

その結果、こういったインテリア小物で、金型の要らない鋳物をベースに1パーツで、と決まったんです。
その最初がBirds-Footだったんですよ。重たい物って実は不利なんですよ、何するにしても。
その重さという制約条件から市場をリサーチしたら、
当時はブックエンドに見えないブックエンドって少なかったんです。

重さが歓迎される物の中で、ブックエンドであればオブジェにもなるだろうし、という事で決まりました。

-Birds-Footがこの形に落ち着くまでの経緯は?

L字型で挟む普通のブックエンドの要素をバラしてみたんです。
平面で安定させるには四本足よりも三本足なんですよ。カメラの三脚と同じで。
すると、面に対して必ず点で接する形状、ということで「 球 」となります。

垂直面についても、三点あればまっすぐ接することが出来る。
それで「 四つの球 」の要素が出ます。

最初はもっとシャープな形も考えていたんですが、
鋳物だと金型のような正確な寸法のコントロールが出来ないんですよ。
しかも、バリを取ったりする中でアウトラインが歪んだりとか。
「 ならば、球をゆるくつないじゃおう 」となったわけです。

-「こういう物が作りたい」というアイデアから始まったのではなく、
要素を分解していった条件から形になった、と。


そうですね。それで、やってみたらちょっと変わった形になった。
それで「 鳥の足っぽいね 」 って言われたんで
「 じゃあ、名前はBirds-Footにしよう 」 と。

でも、「鳥の足をイメージして作ったんですよね?」って思う人がやっぱり多いみたいです。
だから、そう言ってくれる人には「 そうです 」って(笑)

Vol.2 へ続く

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