SPECIAL INTERVIEW 赤城晴康さん×弘石雅和さん Vol.2

By in インタビュー on 2010年7月27日



-PVの見所はどのあたりでしょうか?

赤城:基本的に、映像の構成自体はアニメ会社さんにお願いをしていたんですが、

HMOさんの「やっぱりYMOファンにも喜んで頂ける作品にしたい」
という意向もあったので、
CGのキャラに関しては歴代のYMOの振り付けとかをオマージュ化するということで
僕らは素材を作ったんですね。

「ミクがあのYMOの踊りをしてる!」という感じですね。


-そのお話は、一般の方は知らない要素だと思うのですが、
YMOの踊りのパターンをオマージュした、というのは結構マニアックな部分ですね。


弘石:そうですね。当時、80年代当時、YMOはインストゥルメンタル中心のアルバムを
100万枚以上売ったりと、社会現象になるほどの非常にポピュラーな存在だったんですけど、
現在、ニコ動とかを見ている若い人たちはあまり知らないという方も多いようですね。

今回のHMOのビデオの中でも、YMOのマニアにしかわからないような
すごく細かいネタがいくつか入っていたりします。

-世代を超えて楽しめる要素ということですね。

赤城:HMOのPVを観ていただいた後にYMOの元ネタ探しとかをしても面白いでしょうね。

弘石:ニコ動ってAmazonのリンクに飛んでCDが買えたりするじゃないですか。

HMOがきっかけでYMOのオリジナルアルバムが売れたり、なんていうこともあったみたいですね。

赤城:「君に、胸キュン。」アニメのOPに使われていたりだとか、
ドラマだとかの複数のメディアに出てますけれど、
ニコ動での盛り上がりというのは初音ミクあってのことだと思うんですよね。

弘石:そういう意味では二次創作という手法によって、
いままでにない可能性が拡がってきています。

商品と同人を両立させてあげられるような環境

-インターカルチャーは、もっと個人がものづくりに関われるという、
ものづくりの新しいプラットフォームを目指しています。


今回は「初音ミク」
というプラットフォームでプロの方がコンテンツを作られていますが、
一方で、個人の方が作ったコンテンツを媒介にして、
更に個々人が繋がっていく世界も広がっています。

その世界が持つ可能性についてはどのように感じられますか?

弘石:まさに同人の世界がそれだと思います。

赤城:ワンダーフェスティバルもまさにそうですね。企業ブースと一般ブースがありますが、一般ブースの方々が、今おっしゃられたような個々人の繋がりを担っていると思います。

弘石:うちのレーベルにはHMO以外にも、ボーカロイドのいわゆる「P」※と言われるような
アーティストがいるんですが、そういったアーティストの作品を全国流通にしたり、
ものによっては海外にもライセンスしています。

ですが、その規模でも「メジャーや商業活動と同時に、
同人活動も継続的にやっていきたい」というアーティストが多いので、
今までのレコード会社の「メジャーに行ったらインディーの活動はとりあえずおしまい」
という考え方とは違うものだと思います。

我々も「同人の大事さ」というのはよくわかっていて、
「ダイレクトマーケティング」と言うとビジネス的ですけれど、
彼らも作った物をダイレクトに売ることによって、意見を直接もらったりしているので、
お客さんが見えているんですよね。

ニコ動で新しい曲をアップする時には、
どういうタイミングでどういうタグを付けてアップするとたくさんの人が来てくれるか、
ちゃんと理解している。そういうところでは我々も学ぶところがあるので、
「商業と同人を両立させてあげられるような環境を作ってあげたいな」って思っています。

※P…プロデューサー。アイドルをプロデュースするゲームで
プレーヤーは(名前)Pと呼ばれる事から、
ニコニコ動画の投稿者がハンドルネームとして使用する。

-ものづくりをサポートするということですね。

今までにもそういった動きはありましたが 今後もそういった動きが重要になっていくと思われますか?

弘石:そう思いますね。

音楽産業は現在、大きな変わり目になっていまして、
今までのメジャーを中心とするレコード会社の方法論はなくなっていくと思うんですよ。

その、まさに変わり目のタイミングで同人やニコ動から新しいアーティストが

産まれてきているボーカロイド「P」の活動の方法はメジャーレーベルを経験した

僕にとっても、非常に刺激になるし、興味深いです。
一緒に、これからの音楽ビジネスのありかたを構築していきたいですね。

赤城:インターカルチャーの場合、3Dのデータから立体化して行くわけですよね。

昔は3Dデータの垣根は非常に高かったんですが、最近は中学生が3Dソフトを使ったりして、垣根はものすごく低くなっている。
ビジネスチャンスになる可能性が高い。

-つまり「あるものを買う」という世界から、「消費者が自分の観点でカスタマイズして、
物ではなく、その価値を買う」という世界にシフトしていっている、とも言えますよね?


弘石:いわゆるDTM、自宅でPCを使って音楽を作るというカルチャー自体は昔からあったんです。

そこから大きく変わったことが二つあると思います。
一つ目は、例えばサラリーマンがバンドをやっていて
「仕事が終わったら自宅で音楽を作るぞ」と。
そうすると、インストゥルメンタルの音楽、ボーカルが入っていないものはできても、
昔はボーカルを自宅で入れるのは難しかった。

自分のイメージに合うボーカリストを探して、その人とスケジュールを合わせて、
という部分が非常に難しかったんですけれど、初音ミクの登場でそこが大きく変わった。

赤城:24時間、自分のために歌ってくれますからね。

弘石:もう一つは、詞と曲において、両方の能力を持っている人が沢山出てきたな、と。
そこにはニコ動があって、ニコ動って絵とともに歌詞を見せるじゃないですか。
あれがまた非常に良かったと思うんですね。
作ってる人がその場で発表して、コメントをいただく。

すると、作り手はやっぱりうれしいんですよね。
何人の人が観てくれたかわかるし「こんなに褒めてくれる」と。

まぁ場合によってはちょっと違う反応もあるわけですけども。
それがアーティストの次のステップに繋がっているかな、という気がしますね。

じつは、それってレコード会社のA&R、ディレクターの仕事だったんですけどね…(笑)

Pocket