SPECIAL INTERVIEW 吉井宏さん Vol.2

By in インタビュー on 2010年2月15日


日々作品を作るというルールが自分を進化させる。

– 「 続けていくための進歩 」がキャラクターを毎日ブログに
アップするという所に現れているのでしょうか?



多少のプレッシャーにはなるんですけれど、

「毎日アップする」っていうのをルールにしちゃうと、色んなことが起きるんで面白いんですよ。

一番効果があるのは、逆説的ですが

「自分の作っているものに飽きてしまう」ということです。

飽きが来るのが早くなるんで、飽きないようにどう気持ちを整えていくかとか、

全然新しい方向に行かなきゃいけないだとか、そういうことをすごい速さで経験できるんですよ。

「私はこういう画風です」

というのがある人は、一生それをやるのかもしれないけれど、

毎日それをやっているとすぐ飽きちゃうんで。

「私の画風はこれだ」

って人の次の一生を早めに始められるんですよ(笑)

– 次の自分を見たい、と?

そうそう、かっこいい言葉で言うとそれになる(笑)

前の作風は別の人がやった仕事みたいに僕自身にも思えるんですよ。

雑誌や本に2Dイラストを描くことが主な仕事だったのは2004年くらいまでで、

その後は主に3Dでキャラクターを作ることが中心になってるんで、

それまでとは全然別のことをやってるんです。

サイクルが早いから、人の何倍もそのサイクルを経験できる。

ここ3,4年の作風は安定してますけどね。

それは今の「ツルテカ」の質感と、色をベタ面で塗るというやり方を見つけたんで。

それをルールとして決めると、他の部分で遊べるんですよね。

同じやり方で作っていると一つのパターンに陥りがちなんで、それを毎日ちょっとずつ破ってるんですよ。

作品が多いので似たようなものがあると思われがちですけれど、

自分の中ではちょっとずつ新しい部分が入っているんですよ。

ひょっとしたら、すぐ飽きちゃって、全然別の方向に行くかもしれないですけれど。

自分の作品個性は、個人ではわからない。
だから、人に揉んでもらうことも必要。

– この「 ヤンス!ガンス!」も「 形と色 」へのこだわりを元に産み出されたのでしょうか?

依頼される仕事、ということになると、やっぱり全くの自由というわけじゃないです。

「ヤンス!ガンス!」の場合は、

秋元きつねさんという作家の方から組まないかという打診があったんです。

きつねさんが作っていた、これの元になるキャラクターがあって、

その設定を元に僕がスケッチして段々と理想の形に近付けていきました。

– そうなると、やはり普段のキャラクター制作のアプローチとはだいぶ違いますね。



そこが難しいところなんですけれど、これを作っていた時に

「 吉井さんらしくない 」

「 もっと吉井さんらしい形にしてくれ 」ってよく言われたんです。

僕らしい形とか売りになる形、個性って自分じゃわかんないんですよ。

出しては戻しを繰り返さないと、最終的にどこに落とすかって決まらないんです。

それを探りつつ、何十個と候補を出しながら最終形に近付けていった感じですね。

ひつじのしつじくん」にしても、それこそ何百個とスケッチを出したんです。

色んな候補の中から「じゃあ、羊で行こう」ってなった時に、そのまま行くと

全然僕じゃない形になっちゃう恐れがあったんで、一旦全部白紙に戻してもらったんです。

更に、新しく作った形に対しても色々と要望も入りますでしょ。

その時は「えー?」とか思うんですけれど、

でも、そういう要望とかを取り入れつつ作っていると最終的にこうなったんです。

今考えてみると「これに決まって良かったなー」って思えるんです。

人に揉んでもらわないと最終的な高みに行き着かないかもしれないですね。

– ご自身で作られたキャラクターの中で特にお気に入りのキャラクターはありますか?



そうですねー、好きとか思い入れで言ったら「ヤンス!ガンス!」は

今までで一番思い入れがあるし、この「ひつじのしつじくん」にしてもそうだし。

あと、こいつは「TV-Dog」って言うんですけど、

昔からアレンジを繰り返しながら続いているキャラクターなんで、そういう意味では気に入ってますね。

言ってしまえば着ぐるみ状態の犬ってだけなんですけど、なんか好きなんです。

これはちょっと違うバージョンなんですけれど、

フランス海軍の軍艦とか作っている会社の社内用キャラクターということで使われています。

Vol.3 へ続く

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