[連載]第5回 ニキシー管を点灯させるお話

By in 3Dプリント, 商品紹介 on 2012年9月17日

ニキシー管ラジオ製作記も、連載第5話となりました。

今回は、ニキシー管の点灯方法について、電気回路部分を担当する
㈱ビット・トレード・ワンの阿部さんに書いて頂きました。

はい、阿部です。今回は、ニキシー管の点灯方法について、
少し技術的なお話をお送りします。

あまり突っ込んだ話はしませんが、ニキシー管を点灯させる為に必要な
技術の概要を解説しましょう。

☺ ニキシー管の光らせ方 ☺

ニキシー管は0~9までの数字の形をした陰極と、陽極で構成されています。
この陰極と陽極の間に170V~200Vほどの直流電圧を印加すると、
ほのかなオレンジ色の光で発光します。

基本的な動作としては、アノードコモンの7セグメントLEDと同じです。
ただし、LEDの場合には電圧は2V~3Vほどで良いので、電圧レンジが少し違います。

設計中の回路図です。諸事情により画像の解像度を下げています。ごめんなさい・・・

☺ ニキシー管のダイナミック点灯を行う ☺

7セグメントLEDの場合でも使う方法ですが、
「いくつかの(今回の設計では6つの)ニキシー管に好きな数字を表示させたい」と
思った場合には「ダイナミック点灯」と言うテクニックを使います。

ダイナミック点灯を使わなくても、ニキシー管を点灯させる事はできますが、
制御ピンの数が物凄く増えてしまう等、となかなか大変な事が多いのです。

例えば、6本のニキシー管を点灯させる場合、ダイナミック点灯無しだと
66本の制御ピンが必要ですが、ダイナミック点灯を行う事で16本に減らす事が出来ます。

簡単にこの「ダイナミック点灯」の動作原理を説明します。

☺ 一番左のニキシー管の陽極に200V印加し、数字の「1」の陰極をGNDに接続する。
すると、一番左のニキシー管の「1」が光る

☺ 一番左のニキシー管の電圧を切る。
一番左のニキシー管が消灯する

☺ 二番目のニキシー管の陽極に200Vを印加し、 数字の「8」の陰極をGNDに接続する。
すると、二番目のニキシー管の「8」が光る

☺ 二番目のニキシー管の電圧を切る。二番目のニキシー管が消灯する

☺ 以下6番目のニキシー管まで繰り返し。

この一連の動作を、1秒間に100回ほどやってやれば、人間の目には
残像効果で全てのニキシー管に数字が表示されているように見えるのです。

人間が手で配線を繋ぎ変えて、やろうとすると大変ですが、マイコンでやれば楽勝ですね。

☺ ゴースト現象 ☺

ところがニキシー管をダイナミック点灯させた時、
ゴースト現象と言う現象が起きる事があります。

ゴースト現象とは、表示させようと思っている数字とは別に、
隣の管に表示しようと思っていた数字が、薄くぼんやりと
ゴーストの様に光ってしまう現象の事です。

下の写真を見てください。左から3番目と5番目の管に、
本来は表示したくない数字がゴーストの様に光ってしまっています。

ニキシー管に限らず、7セグメントLEDでも
ダイナミック点灯を行うとこのような現象が起きます。

1秒間に100回以上も切り替えを行なっていれば、
そんな事も起きそうな気がしますよね。

一般的には、
「一番左の管を消灯してから一呼吸置いて二番目の管を点灯する」
とする事でゴースト現象を消すことが出来ます。

しかし、ニキシー管の場合には曲者で、細かい説明は省きますが、
普通に一呼吸置いただけではなかなかこのゴースト現象が消えてくれないのです。

結論だけになってしまいますが、陽極側(200V)の方を先に切って、
それからちょっと待って陰極側を切る、と言う工夫を入れると
すっきり綺麗にゴーストを消すことが出来ます。

☺ クロスフェード処理 ☺

これはちょっとしたテクニックですが、先ほど説明した
ダイナミック点灯のテクニックを使用して、ニキシー管を更に素敵に光らせる方法があります。

それが「クロスフェード」処理です。

「クロスフェード」とは、音響等の分野で使われる言葉です。
曲Aの音を徐々に小さく(フェードアウト)しながら、
曲Bの音を徐々に大きく(フェードイン)する事で、
曲Aと曲Bを滑らかに切り替える事が出来ます。

ニキシー管で「クロスフェード」を行う時には、次のような手順で行います。

例として、一番左のニキシー管に点灯させる数字を
1→2に変更する場合を見ていきます。

☺ ダイナミック点灯で一番左のニキシー管を点灯させている時に、
数字の1と2を9:1の時間的割合で点灯させる

☺ 次に一番左のニキシー管を点灯させるタイミングで、
今度は8:2で点灯させる以下、1:9になるまで繰り返し。

 

このようにする事で、数字の1は徐々に暗くなり消えていき、
数字の2が徐々に浮かび上がる、と言う制御が行われます。

今回のニキシー管ラジオでは、このクロスフェード処理の為に、
一秒間に数千回の点灯制御を行なっていますので、とても綺麗に数字が入れ替わります。
一見の価値アリです。

今回は、ニキシー管を点灯させる技術の、
主に点灯制御の部分について概略を書いてみました。

次回、いよいよニキシー管を点灯させた様子をお送りできるかな?
お楽しみに!

(宅間)

※ニキシー管は、株式会社ビット・トレード・ワンとINTER-CULTUREの共同開発です。
連載記事はこちら
☞☞☞ 第1回 ニキシー管でなにかを作ろう!
☞☞☞ 第2回 ニキシー管ラジオをデザインする
☞☞☞ 第3回 ニキシー管ラジオの設計
☞☞☞ 第4回 RP試作品を評価する

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